歯が抜けてしまった場合、そのまま放置していると様々な問題が生じてきます。
「補綴(ほてつ)治療歯科」とは
見た目やかみ合わせを差し歯や入れ歯などの人工の歯で補う治療法のことです。
参照:日本補綴歯科協会
- そして、失った歯を何らかの人工物で補う事を「欠損補綴」と言います。
今回は、歯が抜けた場合に「放置した場合の5つの悪影響」と「補綴治療の3つの治療法と利点と欠点」をお伝えいたします。
補綴治療・歯が抜けた!放置した場合の5つの悪影響
歯が抜けたままにしていることによって生じる問題
1.抜けた歯の周囲の歯が動く
歯は唇、舌、頬、そして咬合う反対側の歯により、常に様々な方向から圧力を受けつつその場の位置をキープしています。
歯が抜けると、生じたスペースを埋めるようにして隣の歯が傾いてきたり、咬合っていた歯が出てきたりします。
さらに長い間放置し続けると、歯列全体にゆがみが生じたり、反対の歯が歯茎に刺さるまで挺出し、その後の治療が大変難しくなります。
2.咬む力、機能が低下する
歯を失うことは、単純に咬む機能も失うことに直結します。
主に前歯は物を咬みきることに使われ、奥歯は物をすりつぶすことに使われます。
また咬みしめる力も衰えてしまい、第一大臼歯が抜けただけで物を咬む効率は20%も低下すると言われています。
3.発音障害
歯がない状態は口の中の空気が抜けてしまうことにより、発音しにくくなります。
例えば、「サ」「タ」「ナ」行の発音には、上あごの歯が強く影響します。
4.審美性(見た目)が悪い
特に前歯が抜けたままですと、見た目が悪く、他人からの印象も悪くなります。
また、左右均等に咬むことができなくなることで、顔の周りの筋肉のバランスが崩れることにより、お顔全体の印象も変わってきてしまいます。
5.虫歯、歯周病を誘発する
歯列びが悪くなると同時に顔周りの筋肉のバランスが崩れると、口が無意識に開けたままになり、口呼吸になってしまいます。
口呼吸は口腔内を乾燥させ、虫歯、歯周病、さらには口臭を悪化させる原因となります。
補綴治療・歯が抜けた!3つの治療法の利点と欠点
1.入れ歯
入れ歯とは取り外し式の装置を使用して、失った歯を補う治療法です。
保険が適用される治療なので治療費が安く済みます。
部分入れ歯の場合はバネを引っ掛けた歯に大きな力がかかるため、それが負担となって健康な歯を痛めてしまうことがあります。
喪失した歯の本数に関係なく対応しますが、本数が多いほどその分入れ歯が大きくなり、口全体を覆ってしまうことになるので、食べ物の味や温度を感じなくなることがあります。
また、入れ歯が合わないと外れやすかったり、うまく噛めない、痛みがあるなどの問題が生じやすくなります。
2.ブリッジ
ブリッジとは失った歯の両側の歯を削って支えとし、そこに差し歯とダミーの歯を被せることによって欠損部を補う治療法です。
保険が適用される治療なので治療費が安く済みます。
歯に固定されるので入れ歯のようにガタつくことはなく、手術も不要なので手軽にでき、歯が1、2本抜けた際には有効な治療の選択肢の一つです。
しかし、支えとなる歯はたとえ虫歯でなくても削らなくてはならないことと、過重な負担を強いることになるので、元々健康だった歯の寿命を短くしてしまう可能性があります。
また、ダミーの歯と歯肉との間に食べ物のカスが詰まって、虫歯や歯周病の原因になってしまうこともあります。
3.インプラント
インプラントとは、抜けてしまった歯があったところのあごの骨にスクリューを打ち込みその上に人工の歯を作ることによって喪失した歯をを補う治療法です。
他の治療法と比較すると、見た目にも美しく、健康な歯への影響や違和感が少ないことがインプラントの特徴ですが、手術が必要です。
入れ歯やブリッジは、手術もなく費用も安いという利点もありますが、インプラントは保険がきかないことが欠点です。
またスクリューの縁から直接バイ菌が体内に侵入して来るため、口腔ケアが充分でない方や、歯周病の悪化の原因の1つでもあるタバコを喫煙される方にもお勧めできません。
インプラントは自然の歯と同様に咬む力も失わず、メリットの大きい治療法と言われていますが、そのままずっと使い続けるには普段のブラッシングと、定期的なメンテナンスが特に必要不可欠です。
補綴治療|歯が抜けた5つの悪影響と3つの治療法
歯が抜けた状態で放置しておきますと、周囲の歯の移動や咬合力、咀嚼機能の低下、発音の弊害、見た目(審美性)の悪化、更には他の虫歯や歯周病を誘発するといった5つの悪影響が生じますので、早期の補綴治療をお勧めいたします。
しかしながら「入れ歯・ブリッジ・インプラント」などの3つの補綴治療にはどれもメリット・デメリットがありますが、どの補綴治療方法でもきちんとした処置とメンテナンスが出来れば、それぞれご満足頂けるはずです。
患者さんの置かれている状況や口の中の環境、価値観に基づいた治療法を提案いたしますので、ご納得をした上で選択してください。